使用済制服をリユースにまわす「学生服回収ボックス」。
街中で見たことがある方もいるのではないでしょうか。
置いてあるけど、どういう会社が運営しているのか?どこにリユースされるのか?知らない方も多いはず。
そこでこの記事では、学生服回収ボックスによる制服のリユース方法についてご紹介していきます。
学生服回収ボックスとは?
学生服回収ボックスとは、制服リユース店が制服の寄付を募るために設置している回収箱のことです。
最近衣料品業界では、サステナブルなものづくりの考え方が浸透してきており、衣料品回収が盛んになっています。
大手アパレル企業ユニクロが店舗内に設置している「RE.UNIQLO回収ボックス」を見かけたことがある方も多いでしょう。
衣料品の中でもとりわけ学生服は、非常に丈夫で高価なものなのに、結局3年着たらもう着る機会が無くなってしまいます。非常に勿体ないですよね。
そこで「学生服を回収して、リユースしよう!」という動きが活発になっており、学生服回収ボックスも普及しているのです。
学生服回収ボックスを設置している企業・団体
上記で、学生服のリユースの動きが活発になってきた、とご紹介させて頂きました。
それでは実際、学生服の会社ではどのような企業が既にボックスを設置し、回収を行っているのでしょうか?
以下から代表例をご紹介させて頂きます。
学生服リユースショップさくらや
さくらやは、全国展開する大手制服リユースショップです。
その社会貢献度の高さからメディアでも多数取り上げられており、内閣府の「子供の未来応援国民運動」という学生服支援活動を行っています。
子供の未来応援国民運動とは、査定額を内閣府の「子供の未来応援基金」に全額寄付する活動のこと。
寄付したお金は国を通じ、子ども食堂のような子供の支援機関に分配されています。
ボックスの設置場所は、内閣府の「子供の未来応援国民運動」に賛同してくれる企業・役所などに設置されていました。
◆設置場所例
- 市役所
- 銀行、信用金庫
- クリーニング店
- イベント会場
- 企業オフィス、営業店舗内
カンコー
カンコーはご存知の通り、学生服の老舗メーカーです。
企業のCSR活動の一環で、回収ボックスを学校に設置して制服を回収しています。
カンコーの特徴は制服をリユースにまわしているのではなく、資源リサイクルにまわしていること。
玄関マットなど別のものに再生させているようです。
地域のリユースショップ
地域の小規模リユースショップでも、学生服回収ボックスを設置しているところがありました。
◆学生服回収ボックスを設置している地域のリユースショップ例
筆者が探し当てられただけで2店ありましたので、ご近所で探していただくともっと見つかるかもしれません。
こちら2店舗も、査定額をこども関係の基金に募金しているようです。
設置場所は地域に声掛けを行い、コンピニや地域の商店などで設置されているようでした。
地域のコミュニティという強みを活かされていますね。
NPO法人等非営利団体
上記までは営利企業をご紹介してきました。
しかし中には、NPO法人など非営利団体による制服回収活動もあります。
◆学生服回収を行っているNPO法人例
これら団体は、金銭的に余裕が無く制服が買えないご家庭に向けた活動をしています。
たしかに制服は正規で購入しようとすれば、5~10万円/式程度の金額となるでしょう。
お子さんの入学資金に困っている家庭は、非常に助かります。
学生服回収ボックスで、助かっている人たち
学生服回収ボックスは、その企業・団体によって支援先が異なります。
ここでは回収ボックスに寄付した場合、結局どういうところへの貢献につながるのか?
上記でご紹介した企業・団体活動の事例を交えつつご紹介させて頂きます。
安価に制服を買えた人
寄付という慈善活動によって集めた制服のため、販売価格も手ごろなことが多いです。
特にシングルマザー家庭の約半数が貧困状態にあると言われており、5~10万円/式する制服を購入することが出来ずにいます。
中には制服が買えずに入学式を欠席する、という事例もあるそうです。
販売価格は企業・団体によってまちまちですが、正規の3分の1程度など格段に安く買えます。
非営利のNPO団体だと、より安く手に入れられるかもしれません。
ここまで安くなると子供の入学資金で頭を抱えている保護者の方は、本当に助かることでしょう。
学生服リユースによって雇用されている人
回収した制服を販売するためには、様々な作業が必要になります。
さくらやではその作業で発生する雇用も、地域貢献度が高いものになっていました。
◆さくらやの制服再販に至るまでの作業依頼先
- 刺繍除去 → 地域のおばあちゃん
- 選択・洗濯 → 障がい者私設
- 販売 → 地域の子育て中のお母さん
たった1つの活動で、多くの箇所の支援が一気に出来る素晴らしい活動ですね。
全国の子供たち
さくらやをはじめとした地域のリユースショップでは、寄付で集めた制服の査定額分を子供の支援基金に募金しています。
ではここでさくらや・りんごのほっぺが支援している、「子供の未来応援基金」をご紹介しましょう。
この基金は2015年に内閣府によって設立された、子供の貧困対策を進めるための官民連携プロジェクトです。
毎年集まった基金の分配先が協議され、子どもを支援する全国の民間団体を決定・分配されています。
子どもの未来応援基金 – 令和3年支援採択結果
支援先は毎年少しずつ異なるようですが、以下のような用途で使用されていました。
- 子どもの下校後の居場所づくり・学習支援
- 子ども食堂の運営
- 一人親家庭へのフードバンク事業
- 里親・特別養子縁組に関する支援
地球環境
制服をリユースすることで、地球環境など社会全体への貢献も出来ます。
昨今、将来の地球環境の危機感から、SDGs・サステナビリティ・エコが叫ばれるようになりました。
実際制服を生産するには、生地染色で大量の汚水が出たり、裁断くず(ゴミ)が大量に出たり、環境への影響も大きいです。
制服は長年着れるように丈夫に出来ているのに、着用するのは在校中のたった3年。これぞ「モッタイナイ」ですよね。
新品にこだわらず、リユース出来るものはリユースする。この考えは今後の社会に益々定着してくのではないでしょうか。
学生服回収ボックスを利用する際の注意点
学生服回収ボックスは、査定額が子供の支援活動に募金されたり、生活が困窮している家庭へ安価に譲渡されたりしています。
非常に社会貢献度の高い活動であることは、徐々に浸透してきました。
では実際学生服回収ボックスを使用するにあたり、どういった点を注意すべきなのか?利用上の注意点をご紹介していきます。
回収アイテムが限られている
企業・団体によって、回収しているアイテムが異なります。
例えば上履き・柔道着・スクール水着などは、回収していないところも。
学生服回収ボックスは基本無人ですので、事前に確認してから必要なアイテムだけを入れるようにした方がいいでしょう。
クリーニングの要否
クリーニング不要にしているところが大半です。
しかし「なるべくきれいな状態で出してほしい」などの要望があることがあるので、確認しておきましょう。
寄付(査定額無料)であること
学生服回収ボックスは、「制服の寄付ボックス」です。
志願者の善意による寄付活動のため、勿論査定額のリターンはありません。
一方で使用しなくなった制服を寄付すると、自宅が片付いたり誰かの役に立ったりするメリットもあります。
地域貢献にも繋がりますので、お部屋のお片付けついでに是非ご利用してみては如何でしょうか。
学生服回収ボックス以外の制服リユース方法
学生服回収ボックスは社会貢献度が高い一方で、回収場所を探し持ち込まなくてはいけない、査定額のリターンが無いというデメリットもあります。
では学生服回収ボックス以外には、どのようなリユース方法があるのでしょうか?
以下からご紹介させて頂きます。
学校PTA・近所の欲しい人に譲る
卒業生の保護者に、PTAから制服の寄付が呼びかけられる学校があります。
こちらもほとんどが無償(寄付)ですが、回収先が学校なので持込が便利というメリットがあります。
またもし近所で既に制服が欲しいという人がいれば譲ってあげると、良い近所付き合いにも繋がるでしょう。
制服買取店に販売する
「せっかく手放すなら、リターン(査定額)が欲しい」という場合、制服買取店の利用がおすすめです。
制服買取店なら数千円/式、ものによって2~3万円/式の査定が提示されることもあります。
地域のリユースショップだと、数百円/式にしかならないことが多いです。高額査定を狙うなら買取店に決まりでしょう。
◆おすすめの制服買取店
まとめ
この記事では、学生服回収ボックスによる制服の寄付方法をご紹介してきました。
学生服回収ボックスは不要になった制服を回収し、リユースする慈善活動です。
企業CSRやSDGsの定着により、まちの市役所・銀行・お店など、様々なところに設置されるようになってきました。
寄付した制服は査定額分が子供の支援基金に募金されたり、生活困窮家庭に安く制服が販売されたり、あらゆる社会貢献に役立てられています。
お部屋の掃除の際、クローゼットに置いたままの制服を見つけた方は、是非外出ついでに制服を寄付しに行ってみては如何でしょうか?
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